ペロン・フロペニウスの定理とマスター方程式

私用で調べたことの覚え書きです。
ペロン・フロベニウスの定理を用いてマスター方程式
\frac{d}{dt}P(t) = \sum_jD_{ij}P(t)において
Dが既約でかつ対角化可能な時、定常状態がひとつであることを示します。

Pを確率分布として解釈するためにはマスター方程式が\sum_iD_{ij}=0を満す必要があります。
これは\vec{d_0}=[1,1,\cdots,1]を用いて、
\hat{D}^t\vec{d_0}=0と書くことができます。
ペロン・フロベニウス固有値\lambda_{pf}と対応する固有ベクトル\vec{v}_{pf}を用いて、
[tex:\lambda_{pf}<\vec{d_0},\vec{v}_{pf}>=<\vec{d_0},\lambda_{pf}\vec{v_{pf}}>==0]
これから、\lambda_{pf}=0となることが分かります。

ペロン・フロベニウスの定理から、この行列の任意の固有値について\lambda < \lambda_{pf}が成立しかつこの固有値は縮退していないことが言えます。

Dを対角化することを考えればPの初期分布に依らずt\to \infty\lambda_{pf}=0に対応する固有状態のみが残ります。

ペロン・フロベニウスの定理自体の証明は、例えば物理学者の田崎清明さんがWebで公開されているhttp://www.gakushuin.ac.jp/~881791/mathbook/index.htmlで詳しく説明されています。 他にも物理で必要な数学が幅広く解説されているので興味を持たれた方は是非。